この前の月曜日(1月29日)NHKの「クローズアップ現代」で「ガザと“ホロコースト生還者” 殺りくはなぜ止まないのか」という番組を見ました。
いやもうびっくりしましたよ。
あれほどホロコースト被害を強調していたイスラエルでは、実は、建国からしばらくは、ホロコースト生還者を差別や軽蔑の対象にしてきたそうです。
しかし、イスラエルと周辺諸国の戦争が繰り返されるうち、戦意高揚のため、ホロコースト被害を強調するようになったとのことでした。
今のイスラエルでは、昨年10月7日の攻撃以降、自衛の意識が過剰になっていて、ネット上でガザへの攻撃に異論を唱えた高校の教師が、警察に拘留されたうえ、解雇されたとのことでした。
怖いのは、そうした警察などの官公庁、つまり「上からの」処分にとどまらず、教師に対し、「下からの」攻撃、つまり学生たちからの暴言や暴力が相次いでいたことです。
私は、直接ホロコーストの被害を受けた世代ではない、若い世代でホロコーストという言葉への反応が先鋭化している印象を持ちました。
無論、若い世代にしてみれば、自分のきょうだい、恋人や友人が兵役について戦っているからというのもあるでしょうが、ホロコースト被害を、直接「経験」した人よりも、それを「学習」で知った人の方が純粋というか、情報の純度や加害者に対する敵意が、悪い意味で高くなってしまうということがあるのではないかと思いました。
日本の幕末史を例に出すと、イスラエルの人に怒られるかもしれませんが、私自身、社会人になってから、少し幕末のことに関してかじった際、故郷が佐幕派であった*1ため、官軍諸藩地方ないし、現代における、官軍志士の賛同者にあまりいい感情を持てなくなりました。
ただ、幕末の戦乱は、原則として武士階級同士のものなので、それ以下の階級*2にとってはまた意味合いが違ったこと、出身大学の創設者が、官軍藩出身で、動乱の時期と同じくして親御さんを亡くしており*3、苦労していたことを知って*4、官軍側にも色々あったと思うことで抑えています。*5
そんな風に、学習によって、自分の先祖が被害を受けていると知ると、穏やかではない気分になってしまうことはあります。
一国内の内戦の歴史でさえこうなのに、ましてや数百万の人が殺され、ナチス期ドイツ以外の国でも、ほとんど手を差し伸べてもらえなかったホロコーストの記憶の効果は、強烈なものがあるのだろうな、と思いました。
また、イスラエル国外の歴史教育としても、ホロコースト以前に、東欧でポグロムと言われるユダヤ人迫害があったこと*6はほとんど知られず、ポーランドでは、ナチスドイツの戦争犯罪にポーランド人が関与していた、と批判して最長3年の禁錮刑にされる、などの事例がイスラエル国民の心を傷つけているということでした。*7
逆に、ホロコースト生還者の中には、パレスチナ人から土地を奪ったことに忸怩たるものを感じている人もいる、ということでした。
歴史教育以外の点にも色々触れられていますが、印象に残ったこととして、この点について書いてみました。*8
NHKオンデマンドの下記ページで110円で見られます
AmazonプライムからNHKオンデマンドに加入されている方はこちら。
では。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
クリックお願いいたします。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★