先日、バイデン大統領が、第二次大戦中ニューギニア近辺で行方不明になった叔父の遺体が戻らないことについて、「人食い族」*1が当時はその地にたくさんいたからだ、という発言をしたそうです。
本当だとすれば、「リベラルな民主党」のイメージを傷つけかねない発言だと思います。
軍の公式記録によれば、このバイデン大統領の叔父は、飛行機に乗っていたところ、その飛行機が海上で不時着し、一人だけが助かって、叔父を含めた他の乗組員の遺体や、飛行機の残骸は見つからなかったということです。
普通に考えても、おそらくは不時着した飛行機は助かった人以外の乗員と共に海に沈んでしまったか、脱出に成功はしても、助かった一人のほかは、海上で離ればなれになってしまったかのいずれかでしょう。遺体は海に沈み、それゆえに回収できなかったと考えるのが妥当だと私は思います。
私もアメリカの現職大統領が、このような発言をしたことを信じたくなかったのですが、パプアニューギニアの首相が抗議したということは、この発言はあったということになります。
首相は、
「バイデン氏はおじが人食い人種に食べられたと示唆したようだが、失言だろう。米国には第二次大戦の残骸の除去や遺骨の回収を進めるよう求める。そうすれば、バイデン氏のおじに関する真実が示されるだろう」と述べた。
と、言ったとのこと。人食い関連の疑惑を払拭したいというだけでなく、自分達を巻き込んだ戦争の遺物をとっとと回収してほしい、という気持ちも入っているのかもしれません。
アメリカがパプアニューギニアを含めた、太平洋島しょ国を軽視しているわけではなく、
バイデン政権は太平洋島しょ国との外交に力を入れており、パプアニューギニアとは防衛協定を結ぶなど関係強化を進めてきた経緯がある。
とのことで、「にもかかわらず」のこの発言。
他国のことながら頭が痛いです。
では。
追加:演説の映像がありました。
怒りのパプアニューギニア首相。在パプア米大使館が火消しに回った模様。
4月26日付記:「人食い」の英語表現について、読者の方からコメントがあったので、注釈に書いておきました。英語では特に「人種」や「民族」はつけられていないので(単なる複数形)、日本で一般的なものの、表現としておかしい「人食い『人種』」という言い方はおそらくは、「人種」の概念が固まってなかった頃の訳の名残なのかな?と愚行する次第です。
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*1:AFPBは「人食い族」と訳しているのでそれにならいます。英語での表現は、人食い族はcannibal(s) 人食いはcannibalism だとのことです。