始めに
先週から始まりました、朝ドラ『ばけばけ』。飛び飛びながら週一ペースくらいで書いていけたらいいなと思ってます。
見る時間を上手に取れずに流れてしまったりするので、見た話から埋めていく形に成りますし、記憶違いがあるかもしれませんが、感想と、史実との違いなど書いていきたいと思います。
それと、もうあっちこっちのプロのネットメディアでバレてしまっていますが、主人公トキの「ある事情」についてのネタバレ(多分)が含まれていると思われます。モデルになった、小泉セツさんの略歴や生い立ちを全く知らない白紙状態で見ている方はその点ご留意ください。
10月9日、第一週をコンプリート。
感想
ばけばけ 1話
『耳なし芳一』をトキがヘブンに語り終えるところから始まります。
「たちまち」という言葉の意味を、ヘブンに問われて辞書を引いて説明するトキ。
日本人同士でも、分かりにくい難解な単語を使って、突っ込まれる時ってありますよね。我が家では老人に、いわゆるカタカナ語(特にコンピュータ、ネット関連中心)の単語をよく突っ込まれます。
そこから、もう一つの話として、彼女個人の話へと移り、オープニングに。
回想が始まり、松野家。のっけから、いわゆる丑の刻参りをしています。一家総出(トキ、両親、祖父)で白装束着て庭木に藁人形が打ち付けられます。
呪う相手は、薩長、新しい世になって散切り(断髪)して図に乗ってる商人、そしてペリー。
しかし、「いい夜じゃ」とか呑気なことを言ってるようでは、お父上、怨念が足りませんな。
そして立ったまま寝ているトキちゃん。
小学生にはきつい時間です。(丑の刻は夜1時から3時くらいとのこと)。
ある意味大物。
寺子屋に毛の生えてない小学校で、丑の刻参りを覗いてた男の子から、言いふらされるトキ。
父親が働いてないこともバカにされますが、同級の女の子から学校には行かせてくれてるから、とかばわれます。
先生も男の子をたしなめず、トキの父親を問題視するのがひどいと思いました。
でも、この先生もひょっとしたら士族で、苦しい境遇にいるのかもと思いました。
同級生も、同様の境遇の士族の子弟が多いのかな。
この時代、小学校だけは最低限通わすように、と決まりはしましたが、小学校の月謝の負担は結構きつかったようです。
また働き手でもある自分たちの子供を通わせたがらない親も、少なくありませんでした*1。
にしても、先生、覗いてた子の夜更かしは注意しないの!?
ばけばけ 2話
格上のご親戚「雨清水家」ご夫妻登場回。
奥様の方からトキちゃんは、お茶などを習っています。勉強に専念するため、お稽古をやめたいというトキちゃんを、奥様(おば様)は引き留めます。
そうこうするうちに、旦那様登場。なんと……髷を切って散切り頭になっていました。
その場で、似合うと言ったのはトキちゃんだけでした。
以下ネタバレ? になるかもしれないので白抜き↓。
雨清水家はおそらくモデルになったセツさんの生家、小泉家がモデルでしょうね。そう仮定すると、奥様はもっともらしい理由は述べていますが、お稽古をやめてしまうと、トキちゃんに会えなくなるから、引き留めたのでは……という気がします。
ばけばけ 3話
ウサギ商売に手を出すお父さん。紹介してくれた金成さんは、お城勤めの時のお知り合い。
羽織袴?にシルクハットという、妙な出で立ちをしてます。
シルクハットを被っているのは、髷を落としたことへの、彼なりのコンプレックスかな……。
木刀を持ってウサギ商売に文句を言うおじいさん。
でもしばらく経つとウサギに夢中になってしまいます。
一羽、ウサ衛門というのを家のペットにしますが、作り物のちょんまげを着けさせてますね。
借金をして、更に手を広げるお父さん。株の世界でもそれはあかん。
ウサギが当たり、生まれてはじめてトキちゃんはお金に心配のない生活をします。
けれど、お金がなくて家族に売られ、必死で逃げて捕まる女の人や、数珠つなぎに繋がれてつれていかれる人を見てしまいます。
そして、それからしばらくして、お父さんは帰ってきませんでした。
個人的には、金成さん自身、悪気があってウサギ商売を薦めたわけではなく、彼自身目端が効かなかっただけだと思います。
それにしても和服にシルクハットは、なぜ似合わないのでしょう。ソフト帽とか、麦わら帽子(カンカン帽?ていうの?平たいやつ。)は結構合うのに。
「なぜウサギ(商売)だ」とお祖父さんに詰められて、きちんと説明できないお父さんに、よくわかってないものに投資する危険が表れてました。
川を隔てて向こう側に売られていく人たち。
こちら側は武士の町で、向こう側は商人と貧しい人の町とのこと。
学校がこちら側にあるとすれば、トキちゃんをからかってた子達も、やはり士族の子ばかりなのかな。
それとも店が出ていたということは、ある程度格式のある商人もいたのかな?
ばけばけ 4話
お父さんを探し回り、水死体につきあたるトキちゃん。
警官がこもをめくると一瞬目をそらしますが、顔を見て、父でなかったことに、よかったといいます。(そしてご遺体の家族に怒られる。)
死体の顔を見る勇気がよくあったと思う。
次の日、身投げをしようとふらふらしているお父さんを発見。入水しようとするのを必死で引っ張りながら説得します。
やっぱトキちゃん、気丈で大物だわ。でも学校に通えなくなることでぶっ倒れてしまいます。
暴落したウサギは、汁にされてしまいました。松野家のペットとして飼ってたウサ衛門まで。トキちゃんだけでなくおじいさんも大ショック。
一方アメリカ、シンシナティでは失職して食い詰めたヘブンが、己を呪いながら、拳銃自殺を試みていました。
が、不発、どころか銃弾が入ってなかったのでした。
机上に小さい頃養母(史実のハーンと同じなら大叔母))と撮った写真とおぼしきものがチラッと写ってました。
出会うまで5612日と出て、もっと子役編を引っ張るかと思ったのですが……。
ばけばけ 5話
ウサギ相場で破産して、お屋敷から、お城の遠くの川の向こうの町の長屋に住むことになった松野家。
4話ラストから一気に時間が経って、トキは18歳になっています。
雨清水家の織物工場で働くトキとその友達。
現代の目から見ますと、私語が多いです。
(機械製糸のモデル工場だった富岡製糸場でも、初期の頃は、私語が多くてよく注意されたという記録を読んだことがあります。)
織物工場と言っても、いわゆるマニュファクチュア(工業制手工業)で、内燃機関を使った、自動的な機械を扱う訳じゃないのでいいんですが。
(よくない(笑)でも、本当に、人力ではなく内燃機関による機械だと、私語してたら危ないですからね。)。
先生になりたかった友達が、結局挫折してるあたりがリアルでしょっぱい(泣)。
それでも、社長の差し入れがあったり、臨時のおやつ休憩入れてもらったりしてます。
後々の女工哀史とか知ってる身には、まだゆるいというか、人が人のペースで作業できてたんだよな……と思ったり。
(彼女らの辛さを否定する訳ではありません。あくまで歴史的な変遷を言いたいだけ。)
借金取りが来て、トキを遊郭に売らないかと。
「ギリギリの歳」という言葉に、この時代の人の、寿命の短さとか、今は当然になった、各種福祉的法律のない過酷さとか、色々感じました。
18歳って、令和の今では、逆の意味でギリギリの歳(これ以下の歳に手を出すと、状況によってはお縄だったような……。)です。
というか、現代日本で売春は違法です(一応)。
トキの身売りは、無論家族に却下されます。
このままではいけない、結婚相手を探そう、ということで、とりあえず神社で占いをすることに。
紙の上に硬貨を置いて、池に浮かべ、沈むまでの速度で婚期の近さを、流れていく距離で相手との距離(嫁ぎ先との距離)を見るもの。
トキの紙は遠くに流れてなかなか沈まなかったのでした。
「沈め……」と言いながら流れる紙を凝視するトキの姿は、トレーラーというか、撮影開始の頃のニュースで、もう出ていましたね。(撮影風景では、正面から写してましたが、実際のドラマでは、後ろから撮影していました。)
実際のモデルとの相違点
すでに2000字を越えているので、とりあえず実際との相違点を。
トキのモデル、セツさんの実家の破綻の原因
ウサギ相場の過熱と暴落が同時代にあったのは事実ですが、セツさんの実家の経済破綻のきっかけは、それではなく、もっとややこしい入り組んだものだったようです。下記記事参照↓。
パッと読んだ感じ、土地取引と連帯保証人と冤罪のコンボという感じのトラブルでした。
特に冤罪の部分がきつかったようで、裁判で無罪を証明したものの、財産を失ってしまったそうです。
訴訟には時間もかかり*2、セツさんの実家は、お金だけでなく、名誉すら失いかねない、息苦しい時間を過ごしたようです。
ドラマでトキちゃんが一瞬だけ経験できた、余裕のあるひとときも、セツさんにはなかったかもしれません。
ドラマではウサギ相場になったのは、あまりに実際の状況がややこしくて話数を食ってしまうのと、絵的に分かりやすいからでしょう。
(あとお父さん役の岡部たかしさんが、『虎に翼』に続き冤罪食らうのは、お芝居とはいえあまりにもかわいそう……。)
神社での占いの時期
あと、神社での占いはもうちょっと若いというか、幼い頃だったそうで。
トキが自分の紙が沈むのを待つ間、小さな子供連れが来てましたが、その子達くらいだったのかな。
ひ孫の小泉凡さんの著作によれば、セツさんの8歳くらいの頃のことだったようです。(私の読んだ感触では、ひょっとしたら破産の前かもしれないという気が。)
下記の本の電子書籍版の、第6章を参照して下さい。(紙でも章だては同じかな。)
8歳くらいで結婚のこと考えるのか……。とか思ってしまいますが、時代が時代ですし。
そうでなくても、女の子って早くから、空想的であっても結婚について考えたりするかなあ……とか。
(最近では違うのかもですが、昭和の頃はそんな感じだったかな?)
では。
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*1:特に、人手を家業で必要とする農民の間では、学制反対一揆というのがあったそうです。参考【学制の実施とその対応】
