NHKドラマ『日本の面影』と私
41年前、『日本の面影』という、ラフカディオ・ハーンを題材にしたNHKドラマがありました。
このドラマをみたきっかけは、親が見てたから付き合いで見たのですが、それなりにラフカディオ・ハーン(小泉八雲)という人物について知る入り口になりました。
ジョージ・チャキリス氏と言えば「ヘルン先生」のイメージに
以前の記事で書いたように、ハーン役は『ウェスト・サイド・ストーリー』で有名なジョージ・チャキリス氏が演じていたのですが、ガキんちょだった当時の私に、そんな知識があるはずもなく、ただハンサムな人だなとは思いました。
後年、大学に入り、大学図書館で、遊びで調べものの真似事をしてた時、俳優名鑑か何かを見て、そこまで有名な人が演じていたのだとビックリしました。
セツさんの弟役の柴田恭兵氏の記憶
それと、印象に残っているのは、セツさんの弟さん役の柴田恭兵氏です。
一番記憶にあるシーンはこれ。↓
セツさん(演:壇ふみさん)がハーンの世話役として奉公することになったのが、「妾(めかけ)*1になった」と噂になるかして、士族の誇りから、異人にガツンと一発言っておかねば、みたいな雰囲気で、ハーンの住む家に乗り込んで行きます。
が、そこにいたのは、布団に体をくるんでなおきつい、松江の冬*2に震えるハーン。外にはしんしんと雪が降っていました。
最初の意気込みも飛んでいき、思わず、大丈夫か?と案じる弟さん。
(記憶の中のシーンなんで、違ってるかもしれません。)
柴田恭兵氏は、この2年後、刑事ドラマ『あぶない刑事』で大ブレイクするのですが、それ以前から、このドラマと、その後に放送された、『おしゃべり人物伝』に出演したのを見て知っていたのが、私のささやかな自慢です。*3
その後の私のハーン作品との付き合い
その後、しばらくの休眠期間を経て、高校の頃、ラフカディオ・ハーン著作集という全集の、主にアメリカ時代の新聞記事・コラムを読んだり、外国の伝記作家の書いた彼の伝記を読んだり、ハーンの息子さんの小泉一雄氏の回想記を読んだりしました。
そして、かなりこのドラマでの、ハーン、セツさん両者の描写は、比較的「大人しい」描写だったんだと感じました。
実際のハーンは、割と無茶をしているし(特にアメリカ時代)、セツさんもまた、あのドラマの壇ふみさんのように、三歩下がって夫をたて、尽くす面ばかりではなく、かなり気丈な人だったと知りました。
このドラマの放映された1984年当時は、日本はバブルの少し前で、色々と活気のありすぎる時代だと見なされて、それをよく思わない視点からこのドラマは作られたように見える面もあります。そのため、「静かな」タッチで作られたのが関係しているのかもしれません。
しかし、その影響力は強く、このドラマでのイメージが、実際の二人にかぶさっていると感じられる場面があることも事実で、僭越ながら「それでいいのかなあ」とは思っていました。
『ばけばけ』は、その点、今のところ良い意味で、その部分を地味に覆しつつあるような気がします。
また、「セツさん」、「ハーン」と前者には敬称をつけて書いているように、あくまで研究対象は作家本人、その家族の証言等は、研究のためであっても、補助的なものであり、余り大きく取り上げるものでもないとも思っていました。
しかし、ドラマを見て、セツさんや、長男の一雄さんほか、ご親族の証言は、ハーンに関しての証言であると同時に、その時代の証言でもあるとも感じました。
このドラマがどこまでの時代を扱うかまだ不明ですが、第一話を見て、明治維新というのが、とても大変な転換期であったと実感しました。
キャストの皆様をはじめ、制作諸氏の健闘を祈ります。
また、余談ですが、ドラマ『日本の面影』は、DVDなどのソフトにはなっていないようですが、シナリオは出版されていますので、図書館やAmazonで探されるのもよいと思います。
では。
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