『八代将軍吉宗』配信決定
先日急逝した、西田敏行さんの主演した、『八代将軍吉宗』の、NHKオンデマンドでの配信が決定しました。
✅リクエストにお応えして✅#西田敏行 さん主演
— NHKオンデマンド (@nhk_ondemand) 2024年10月26日
大河ドラマ 「八代将軍 #吉宗」(1995年)を
11/9(土)18時より、毎日数話ずつ配信決定!
八代将軍 徳川吉宗の波乱に富んだ生涯を娯楽性豊かに描く
出演:#西田敏行 #中井貴一 #大滝秀治 #江守徹 #小林稔侍 #賀来千香子 ほか#NHKオンデマンド pic.twitter.com/MYXxs4eOqG
前回の西田さん追悼記事で、扱おうとも思ってたんですが、偶然見た『ドクターX』でのインパクトが強かったのと、記憶を掘り返してみると、他の方のインパクトも強く、西田さんの印象だけ抜き出すのが難しかったので、一旦見送りにしてました。
豪華で濃ゆいキャスト陣
何しろ脇を固める役者さんが濃いこと、濃いこと。
同じく母(父の側室)お紋に山田邦子さん。
もうこれだけで、相当濃い世界だと感じるものが。吉宗は、光貞の四男なのですが、男子のうち、ただ一人長生きして、藩主、ひいては、将軍になります。この二人、というより、母が山田さんという時点で、その事に納得するキャスティングといいますか。(失礼)
そして、五代将軍徳川綱吉に、津川雅彦さん。その綱吉に意見する水戸徳川家藩主、徳川光國に、長門裕之さん(津川雅彦さんの実兄)。
この綱吉公も、寂しい人で、兄に子がなくて将軍になったものの、みずからも子供に恵まれなかった、という……。
六代将軍の徳川家宣に細川俊之さん、その子供で幼くして将軍位を継ぎ、早世する七代将軍の徳川家継に中村梅枝(現:中村時蔵)さん。
徳川一門のホームドラマ
割とコメディタッチで話が進みますし、太平の世の中だから、戦もないので、その意味で見やすかった記憶があります。
コンセプトは、「徳川家でホームドラマ」だったそうです。ほんとに、綱吉と吉宗の間柄なんかも、主従関係はありつつも、親戚のおじさんと、可愛がられる甥っ子みたいな印象でした。
あと、冒頭解説に、近松門左衛門の解説コーナー(笑)がありました。確か、お伊勢参りのブームとその熱狂を解説したあと、当時流行り始めたサッカーのJリーグの応援スタンドの映像がいきなり背後に映り、近松が、「ふぁっ!?」となったことがあったような記憶があります(笑)
それと最後に、オープニングの曲とCG。軽快な曲に合わせて、屏風絵や浮世絵の中の鳥や虎、大名行列や美人画などが動く、大変凝ってて楽しい映像でした。
太平の世でも人は不条理に死ぬ
ただ、悲しいかな、やはり人がよく死にます。病気とか難産・流産*1で。
唯一成人した綱吉の娘、鶴姫は、吉宗の兄の許に嫁いで来ます。夫婦仲はよく、吉宗とも義理の姉弟として、いい関係を築き、紀州家と綱吉との仲も親密になります。(鶴姫が、紀州の蜜柑の色でございます、と橙色の服を着て、紀州家の屋敷? に遊びに来た綱吉に見せて、屋敷の面々も綱吉も顔をほころばせるシーンがありました。)
しかしこの兄嫁は流産がもと*2で呆気なく亡くなり、さらに家督を継いでいた長兄も、あとを追うように死んでしまいます。
綱吉も光貞もひどく嘆いていました。親より子が先に死んでしまう。特にこの時代、小さい子ならまだ諦めもついても、成人した子に先立たれるのは……。
でも、それが頻繁に起きるのが江戸時代、というか、医学の発展してない近代以前*3の現実だったのでしょう。戦がなくても、簡単に人は死んでしまう……という。*4*5
冒頭の言とは矛盾しますが、少年期の吉宗自身、疱瘡にかかってしまいます。出来物だらけになった顔を包帯でぐるぐる巻きにされ、それをはずすと、少年期役の坂本浩之さんから、西田さんに変わっているという演出になっていました。
障がい者と封建社会ゆえの苦悩
光貞の、残されたたった一人の跡取りとなった吉宗は、将軍になってのちは、言語障害のある長男、家重の存在に頭を悩ませることとなります。言語が不自由とはいえ、少年期の家重の知能に異常がないことを示す演出がありました。
家重が、雨の日に屋外の台にたらい(桶?洗面器くらいの大きさでした。 )を置いて、やんだあとに貯まった水に物差しを立てて、雨量を測る、というもので、分かりやすかったのを覚えてます。「これを、そなたが思いついたのか?」といって喜ぶ吉宗のことも。
この家重の成人後を演じたのが、中村梅雀さん。この人も、障がい者としての演技がすごかったのを覚えています。
言葉の問題に加え、幼くしての実母の早世、紆余曲折あって心を通わせた正室に、流産で先立たれ……、という孤独で屈折した役どころでした。
長子相続原則を守って、この障害のある長男に将軍位を継がせるか、健常者で優秀な次男の宗武に継がせるか……という究極の選択を吉宗は迫られていきます。*6
吉宗と家重の話は、去年やった男女逆転の『大奥』でも扱われていたので、見比べられるのもよいかもしれません。
私がこのドラマに関して覚えてるのはこれくらいです。
来年の『べらぼう』の予習としても? 面白いかもしれません。
では。
(26日24時43分、「光友」を「光貞」に訂正しました。申し訳ありません。)
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*1:確たる裏付けはありませんし、うろ覚えですが、江戸時代についての講演で、お産で女性が命を落としやすかったため、男性の方が長生きしたとか、聞いたことがあります。
*4:そして、父の死後、三兄(次兄は幼くして早世。)も急死し、吉宗自身も、「この家は呪われている。次は自分だ」と半ば錯乱して、家臣に諌められたシーンがあったような。
*5:この紀州家での相次ぐ吉宗の兄の死去は、暗殺の疑いを持つ人もいます。その可能性を全く否定するつもりはないけど、私は、医療技術などを考えれば、こういう、間の悪い偶然ってあるのではという気がします。
*6:家重だけなら悩まずにすんだでしょうけど、なまじ選択肢があるばかりに……という。実は二代秀忠から、三代家光の時も、似たような問題が起きてます。(家光は障がい者というほどではなかったようではありますが。)