「さて、アメリカのダウはどうなったかな~」と思って世界の株価を見ても今日は休場。レイバー・デーといって、労働者の日だそうです。決まった日付で祝日になっているのではなく、9月の第一月曜日を毎年当てているとのこと。
「労働者の日なら、メーデー(5月1日)があるのでは?」と思ったのですが、既に国際的な労働者の日と決まっていたメーデーと揃えるのは、制定した19世紀末期において色々都合が悪かったためだそうです。何しろ祝日に決まった*1きっかけが、ストライキの際に陸軍と連邦保安官が労働者を殺害してしまい、その後の鎮静化のために決まったのだとか。
まあ、そんな由来はともかく日本人の一部においては「レイバー」というのは違った意味を持っていて……。こんなのですね。
機動警察パトレイバー(漫画・アニメ)の太田功巡査について
もうだいぶ昔の、今から見ればメディアミックスの走りのような作品ですが。*2
まああれです、若い子の成長譚というのは、だいぶくたびれた大人になると、見るのが色々ときつくなることもある*3作品だし、漫画版は途中脱落、最後まで見られたのがテレビアニメ版、あと最初の映画版(レンタルビデオで見ました)だけなので語る資格があるかどうかなんですが。
社会人になってみると、第2小隊2号機の操縦士(作中では「フォワード」と呼称)「威張り散らしてばかりいる問題警官」こと太田功、意外といい人だし、実はかなりの努力家なんじゃないかなって思ったりします。
話の最初では第2小隊内で、正式な警察教育を受けた警官は彼だけ*4なので、テンパるのは当たり前な気がします。
実は社会に出てみると、思ったよりも「普遍的な常識」ばかりではないと感じることがあります。業界・業種が違ったり、ヘタするとこれらが同じ会社であっても「常識」というのは意外と違うもので、「警察」という社会の「常識」を知らない他のメンツに説教臭くなるのは当然とも思うのです。*5
それと、彼のレイバー隊転属の前の部署は機動隊(漫画版参照)なんですが、これは横幅がガッチリしているとはいえ、身長に恵まれてはいない彼にとって、きつい部署*6ではなかったか……とか勝手に想像してます。
コミック一巻冒頭に「レイバー乗りは小柄な方がいい」というセリフ*7があるので、警察官としては小柄な彼が、「究極の左遷先」とも暗示されている新設部署のレイバー隊に行ったのは、そんな己を、逆に生かす場所を求めてとも、考えられなくはないです。
『パトレイバー』の中の「レイバー」
すみません。レイバーって何か全然説明していませんでした。『パトレイバー』世界でのレイバーというのは、有腕・多足歩行式の搭乗式作業機の総称です。もっと平たく言えば、ショベルカーやクレーン車、消防車などに手足がついてロボット化したものと言えばわかるでしょうか。作中では法的? 分類としては車両の一部とされ、レイバー隊自体も、正式名称は「特殊車両二課(略称は「特車二課」)となっています。
英語で労働者を意味する、「レイバー」の語が機械に転用されたのは、「ロボット」自体の語源が本来、チェコ語の「労働者」から来ていることからちなんでいるようです。*8
また、執筆当時の、現実の80年代後半の日本の現実において、「産業ロボット」は、マジックハンドが一本だけあって、それが溶接をしたりする、工場内で働く据え付け型のもの、というイメージがついていた節があります。これが、作中の多足歩行機械に、あえて「ロボット」の語を使わなかった一因かもしれません。
さて、作中の設定では、それら重機であるレイバーを使って暴れる、あほたわけ*9が出てきてしまったために、格闘による制圧、最悪の場合は、発砲による制圧も想定したお巡りさん型レイバー、パトレイバー「イングラム」がでてきた、という建付けになっています。
この『パトレイバー』、時代設定は1999年頃(漫画連載・テレビアニメ放映は1980年代後半)ですが、実際の1999年にはレイバーのような作業用搭乗式有腕・多足機械の影も形もありませんでした。
やはり、移動におけるゴムタイヤもしくはキャタピラーの安定性、そして各種作業機械の操縦者の転向の難しさ、何より、基本動作の命令系統が複雑になることを考えれば、無理だったのかも……。
制圧現場における威圧感を目的として、「イングラム」は非常に人型に近いデザインになっている、という設定なのですが、実際実物(?)というか、立体で作られてみると、ひどく不安定に見えますし……。
などと考えていたのですが、どっこい、こんなものも作られているそうです。
人型作業重機の夢は終わってはいないようです。(ただし、ロボットの部分に人は乗らず、土台の部分?にコクピットがあって、そこで遠隔操作するみたいです。)
では。
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*1:それ以前からこの日は労働者の日、とはなっていた模様
*2:漫画版、アニメ版でストーリーが違ったり、アニメ版もTV版とОVA版、映画版で微妙に違いがあるらしいです
*3:かといってその作品が悪いわけじゃなく、ライフステージの変化というやつです。
*4:話が少し進んだところで、階級が一つ上の巡査部長、香貫花(かぬか)・クランシー(TVアニメ版)もしくは、熊耳武緒(くまがみ たけお)(漫画版)が転属してきて彼の暴走を抑えることになります。
*5:割と常識人度の高い漫画版の記憶が強いせいかも。
*6:悪意に解釈すれば、退職に追い込むためかも、とも思えます。
*7:これは、主人公で1号機操縦士の泉野明(いずみ のあ)を評してのものですが。
*8:この語が初めて用いられた戯曲『R.U.R ロッサムのユニバーサルロボット』の中の「ロボット」についてもいつか語りたいです。
*9:2024年では死語だけど使いたい。